2021年時点で所属する全ての営業用、事業用車両がステンレス車体の京王電鉄。同じくステンレス車体に統一しているのは横浜高速鉄道が挙げられます。そんな京王電鉄ですが、車体の素材としてもうひとつの主流、アルミ車体の車両がいないのです。どうして京王電鉄ではアルミ車体の車両は導入されないのでしょうか。
京王電鉄におけるステンレス車体の始まりは井の頭線で1962年に登場した3000系です。車体はステンレスながらも、フロントマスクにプラスチックを使ったことからステンプラカーと呼ばれました。このプラスチックはリニューアルの際に鋼製の部品に交換されましたが、ステンレス車体はそのままでした。どうして京王線系統ではなく、井の頭線でステンレスが最初に採用されたのか。それは当時の踏切事情にありました。
3000系の後、1963年にデビューした初代5000系では歴代の車両と同様に鋼製車体が採用されました。当時の京王線では第4種踏切が多く、第1種踏切でも止まらないで侵入する車が多く踏切事故が多発していたため板金による修理が可能な鋼製とされたのです。これは6000系まで続きました。
6000系のマイナーチェンジ版ともいえる7000系で京王線系統初のステンレス車体となり、京王線にも銀色の電車が誕生しました。この頃には踏切事故も減少していたこと、ステンレス車体の技術も確立されていたことがあり、京王線系統でもステンレス車体の車両を導入したのです。この当時まだアルミ車体は他社ではデビューしてはいたものの、京王は導入は考えられておらず、検討されていませんでした。
その後2001年になり、9000系もデビューしました。既にこの頃はアルミ車体を導入した会社も多く、京王電鉄でも導入される噂はありましたが、3000系より始まったステンレス車体が伝統となったのか引き続きステンレス車体を採用しました。
最新型の5000系でもステンレス車体は継続され、京王電鉄ではステンレス車体が伝統として確立されました。前面は造形のしやすさから鋼製が引き続き採用されているものの、それ以外は工法に違いこそあれど、ステンレス車体が標準とされました。
軽量という面ではステンレスより優れていると言われるアルミ車体。しかし京王電鉄では伝統を引き継ぎ、ステンレス車体が標準となりました。今後の新車でもステンレス車体が採用されると思われ、もし別の素材が採用されれば革命ともいえるでしょう。
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